僕もそうでしたが、ほとんどの方は美容室を始めるための開業資金が自分自身の貯金だけでは足りないことが多いと思います。
そのため開業資金の融資を受けるのですが、日本政策金融公庫で借りるのが一般的かと思います。
なぜ、日本政策金融公庫で融資を受けるのかを、この記事で説明したいと思います。
この記事で分かること
- 日本政策金融公庫から融資を受ける理由
- 開業前の自己資金の注意点
- 資金調達の計画方法
- 僕の美容室での実際の開業資金
- 日本政策金融公庫の手続きの流れ
日本政策金融公庫から融資を受ける理由
- 民間の金融機関より金利が安い
- 無担保、無保証の融資制度がある
- 新規創業でも融資がおりやすい
- 返済期間が長い
- 他の金融機関から融資を受けやすくなる
- 融資実行までが早い
民間の金融機関より金利が安い
政府が出資をして運営している金融機関なので新創業融資制度により、他の金融機関より低金利で融資を受けることが出来る。
融資金額が大きくなるほど金利の1%の違いは大きな違いになります。
少しでも安い金利で融資を受けることで、長期での返済が楽になってきます。
無担保、無保証の融資制度がある
事業がもしも、上手くいかず倒産をした場合、個人に返済の請求がいくことがないので財産を守ることが出来る。
新規創業でも融資がおりやすい
民間金融機関より融資の審査基準が低いので融資を受けやすい。
新創業融資制度の概要
ご利用いただける方 | 次のすべての要件に検討する方 1.対象者の要件 新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方 2.自己資金の要件 新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる方 ただし、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」等に検討する場合は、本要件を満たすものとします。 |
資金のお使いみち | 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金 |
融資限度額 | 3,000万円(うち運転資金1,500万円) |
ご返済期間 | 各融資制度に定めるご返済期間以内 |
利率(年) | こちらをご覧ください。 |
担保・保証人 | 原則不要 ※原則、無担保無保証人の融資制度であり、代表者個人には責任が及ばないものとなっております。法人のお客様がご希望される場合は、代表者が連帯保証人となることも可能です。その場合は利率が0.1%低減されます。 |
日本政策金融公庫ホームページより
返済期間が長い
運転資金の返済期間が最長7年、設備資金の返済期間が最長20年と返済期間が長い。(返済10年くらいにする事業者が多い)
他の金融機関から融資を受けやすくなる
事業の内容などの調査を日本政策金融公庫がしたうえで融資をし、毎月返済している実績をつくっていくので民間金融機関に融資を申し込む場合に前向きに検討してもらえる。
融資実行までが早い
日本政策金融公庫では申し込みから融資実行まで1か月弱の期間くらいですが、民間金融機関では1か月以上かかる場合がある。公庫は信用保証協会を経由しないために融資実行が早い。
開業前の自己資金の注意点
創業時の融資を受ける際の審査には、自己資金がどのくらいあるかが重要になってきます。
日本政策金融公庫の新創業融資制度の要件には、「新たに事業を始める方は、創業資金総額の10分の1以上の自己資金」というものがあります。
自己資金が多ければ多いほど融資は受けやすくなると思いますが、10分の1以上という目安を考えておくと良いです。
注意したいのは、融資面談での自己資金の確認は本人の通帳コピー(直近6か月分)を提出することになっていますので、一時的にお金を借りたりして預金口座にお金を預け入れると見せ金だと判断されます。
そこで、自己資金について注意しなければならないことを書いてみます。
自己資金の金額は今までコツコツと考えて、開業したいという気持ちを伝える1番の方法になるよ!
タンス預金
タンス預金で自己資金を貯めている場合にも、一度に銀行に預け入れたものは融資担当者からは見せ金だと判断されるかと思います。
自己資金の場合でもどこから来たお金かの証明が出来ないからです。
金融機関に提出する通帳のコピーは、直近6ヶ月分が必要になりますので、月に1回ずつでもいいので、少しずつタンス預金を銀行口座に移しておく方が良いです。
自己資金は預金口座に定期的に入金しながら、開業資金を貯めるようにしましょう。
以前、僕の後輩が実際にタンス預金で自己資金を貯めている例がありました。
友人や家族からの振り込み
親、家族、友人や知人から開業資金の援助を受ける場合もあるかと思います。
親族であれば開業のための自己資金として見てもらるかと思います。
実際に親族からの援助なのかを証明するために、援助してくれた方の通帳のコピーを提出することが重要になります。
そのため援助を受ける予定であれば、開業を決めた日から事前にコツコツと預金口座に振り込んでもらっておくのも有効かと思います。
資金調達の計画方法
資金の使いみちを考えることで、いくらのお金を借りなければならないのかが分かります。
そこで美容室開業に必要な、主な開業費用を書いてみました。
業者さんに見積もり書を出してもらい、この費用を書くことで日本政策金融公庫の事業計画書を作ります。
開業費用一覧
- 物件取得費用(保証金、仲介手数料、礼金、前家賃、保証料)
- 工事、店舗デザイン費用
- スタッフ採用費
- 美容器具費用(セット椅子、シャンプー台、ローラーボールなど)
- 設備費用(洗濯機、冷蔵庫、電子レンジ、パソコンなど)
- 開業材料費(消耗品一式、シャンプー剤、カラー剤、パーマ剤)
- 広告宣伝費(リーフレット、チラシなど各種印刷物、ネット集客、ホームページ)
- その他諸経費、運転資金(雑誌、観葉植物など)
僕の美容室での実際の開業資金
僕が日本政策金融公庫で実際に借りた1000万円のうち開業資金に使った内訳を紹介します。全て税込金額です。
- 物件取得費用 565,000円
- 内装工事費 4,557,000円
- 設備、セット椅子、シャンプー台、ボイラー、シャンプー台ユニット 2,270,000円
- 材料、備品、パソコン、洗濯機、冷蔵庫など 1,521,000円
合計8,913,000円
・残り金額1,087,000円と自己資金1,800,000円の合計2,887,000円が経営の運転資金となります。
僕は移動式シャンプー台にしたため、中古品がなかった点とシャンプー台をつなげる床下のユニットが必要だったので、一般的なシャンプー台の設備費用より高くなっています。
日本政策公庫の手続きの流れ
・商工会議所に相談しても良い
・主に借入申込書、運転免許証、預金通帳(最近6か月以上)住民票、源泉徴収票、不動産の賃貸借契約書または賃貸物件説明書、美容師免許証、管理美容師免許証、各種見積書(工事、設備)、印鑑
・資金の使い道、事業計画を面談で話す
・借用証書など契約に必要な書類が届き、契約手続き完了後に銀行口座に送金される
自己資金が、いくらあれば借りられるのか?
気になる方が多いと思うのが、自己資金がいくらあればいくらまで借りられるか?と言うものではないでしょうか?
僕はこれに関しては正直なところ分かりませんが、僕の場合は自己資金180万円で1000万円の融資を受けることが出来ました。
僕も自己資金が少なく不安でしたが、事業計画書を何度か見直し、売り上げを作れる根拠を具体的に説明できると大丈夫だと思います。
「美容室の事業計画書の書き方」の記事も作成していますので、ぜひ参考にしてください。
面談の時も融資を受ける立場なのでジャケットを着たりきちっと見える服装が良いと思います。
融資審査のポイント
開業で一番気になる融資の審査だと思いますが、1番重要なのが借入金の返済能力になるかと思います。
その点を根拠を持って金融機関にアピールすることで融資が受けやすくなるかと思います。
借りる金額が大きくても、その金額を返済出来る根拠を伝える方が大事だと思います。
そこで融資で有利になりそうなポイントを書いてみました。
融資のアピールポイント
- 自己資金がある
- 税金、公共料金に未納がない
- 金融商品の返済遅延がない
- 創業計画書、事業計画書の根拠がある
- 面談で返済の根拠を説明できる
- 直近半年間で通帳の開業資金が毎月少しずつ増えている
など、美容室を経営しながら借入金を返済していく能力を伝えられるようなポイントが大事になってきます。
その他に自分自身の人柄や、やる気、事業に対する熱意も大事だと思います。
詳しくは融資面談のポイントの記事もありますので、参考にしてみてね!
運転資金について
運転資金はお店を運営することにおいて重要な資金になります。
美容室の経営を続けるためには毎月かかる必ず必要になる経費があります。
これが払えなくなると美容室の運営を続けることができなくなります。
特に、
・毎月の家賃、水道光熱費
・スタッフの給料
・集客のための広告宣伝費
・インターネット代、電話などの通信費
その他に薬剤などの消耗品、営業に必要な備品などの経費も必要になってきます。
最低でも3か月間売り上げがなくても経営が出来るような運転資金を確保しておきたいです。
一般に美容室経営が軌道に乗るまでは6か月くらいらしいので、1年分あると十分に安心出来るね!
まとめ
美容室の開業資金は小さなお店でも思ったより費用がかかります。
自己資金のみで開業するのも良いですが、返済は10年とゆっくりなので手元にいつでも動かせる現金を残しておく方が、予想しない事態が起きた場合や広告宣伝などが必要になった時にすぐに行動することが出来ます。
経営は現金が回らなくなれば、維持できなくなりますので事業計画書を書く際も注意して考えてみましょう!