倒産防止共済(経営セーフティー共済)
倒産防止共済は、取引先などの倒産によっての連鎖倒産からお店を守るための制度です。
共済の掛金は法人の損金や個人事業主の必要経費として処理出来るので、美容室の節税対策としても使うことが出来ます。
毎月の掛け金を払うことで、不測の事態があった場合にすぐに資金を借りる事ができます。
この制度のおかげで、取引先がもしも倒産して自分のお店が影響を受ける場合でも、お金を借りられるため連鎖倒産を防ぐことが出来ます。
倒産防止共済を使い掛金を経費にすることで帳簿外に現金を残しながら節税をすることが出来ます。
美容室の場合、連鎖倒産は考えられないですが上手に活用することで経営に役に立ちますよ!
加入方法
加入資格は、1年以上継続して事業をしている会社、個人事業主で、業種や資本金、その他出資額、従業員の数によって加入制限があります。
大企業は加入枠からはずれるようにしているのは、中小企業のための制度なのでこのような条件になっています。
事業を始めて、1年目は加入できないので気をつけよう!
必要書類
・契約申込書
・預金口座振替申出書
・重要事項確認書 、 反社会的勢力の排除に関する同意書
・発行日から3か月以内の商業登記簿謄本(法人の場合)
・所轄税務署の受付印のある所得税か法人税の確定申告書
・所得税か法人税の納税証明書
・所得税の確定申告書の作成に使用した帳票など(白色申告者のみ)
加入手続き
倒産防止共済は、中小機構と業務委託している機関の窓口へ必要書類を提出することで加入することが出来ます。
・会員になっている委託団体
・取引をしている金融機関の本支店
掛金について
掛金月額は5000円~20万円(5000円単位)で自由にに選ぶことが出来ます。
掛金は、預金口座振替からの払込みで、後から増額や減額と変更が出来ます。
減額する場合は、下の項目にあてはまる場合になります。
・契約者の事業規模が縮小した場合
・事業経営の大きな悪化、病気などによる突然の出費などによって、掛金の納付が難しくなった場合
・共済金の貸付残高と掛金総額の10倍相当の額の合計額が、8000万円に達している場合
増額、減額を行なうためには必要な手続きがあります。
その他、今後に支払う掛金を先に一括で支払う前納制度もあります。
掛金は上限800万円まで積立ることが可能です。
倒産防止共済のオススメポイント
無利子、無担保で共済金の貸付
中小企業倒産防止共済は、取引先の倒産でお金が回収できなくなった場合には、無利子で融資を受けることが出来ます。
取引先の倒産は下の項目になります。
・法的整理(破産、再生、更生、特別清算)
・金融機関による取引停止処分
・私的整理
・大規模災害による手形の不渡り、支払不能
貸し付けが受けられる金額は、掛金総額の最大10倍の額となります。
返済期間は、5000万円未満が5年、5000万円~6500万円未満が6年、6500万円~8000万円以下が7年になっていて、全ての借入に6ケ月間の返済措置期間があります。
中小企業倒産防止共済の融資は無利子なことや、無担保、無保証人で受けられるメリットがあります。
解約時は解約手当金を受け取れる
解約方法は3通りあって、掛金を12か月以上納めている場合には解約手当金と言うものを受け取ることが出来ます。
・共済契約者が好きな期間で解約できる(任意解約)
・共済契約者の個人事業主の死亡、法人の解散などの場合で共済契約が続けられない場合に解約する(みなし解約)
・掛金の払込が出来なくなった場合や共済契約者の不正行為などで中小機構側から解約する(機構解約)
掛金総額に対する解約手当金の支払割合
掛金納付月数 | 任意解約場合 | みなし解約場合 | 機構解約場合 |
1~11か月 | 0% | 0% | 0% |
12~23か月 | 80% | 85% | 75% |
24~29か月 | 85% | 90% | 80% |
30~35か月 | 90% | 95% | 85% |
36~39か月 | 95% | 100% | 90% |
40か月以上 | 100% | 100% | 95% |
基本的には40か月以上の加入で100%の解約手当金が受け取れるよ!
取引先の倒産以外でも融資を受ける場合
取引先が倒産していなくても、緊急で資金が必要になった場合は、掛金納付月数に応じて最大で解約手当金の95%まで貸し付けを受けることができます。
貸付額は、30万円以上(5万円単位)で金融情勢に応じた金利負担があります。
一時貸付金の貸付限度額
掛金納付月数 | 一時貸付金の貸付限度額 |
1~11か月 | 0円 |
12~13か月 | 掛金総額×75%×95% |
24~29か月 | 掛金総額×80%×95% |
30~35か月 | 掛金総額×85%×95% |
36~39か月 | 掛金総額×90%×95% |
40か月以上 | 掛金総額×95%×95% |
掛金総額800万円の場合 | 800万円×100%×95%(760万円) |
相続事業承継も出来る
共済契約者に相続、合併、分割、事業の全ての譲渡があった場合、包括承継人や譲受人が倒産防止共済の加入資格がある場合は、3カ月以内に申し出ることで、共済契約者の地位を承継できます。
共済金や一時貸付金などの返済が残っていた場合は、返済義務も引き継ぐことになります。
税制上のメリット
中小企業倒産防止共済の掛金は、法人であれば損金に、個人事業主であれば必要経費に算入できます。
月々の掛金は経費での出費にはなりますが、節税面を考えると、とてもメリットのある共済になります。
年間で最大240万円を経費に算入できることはかなりの節税になります。
倒産防止共済の注意点
借入金額の10%が積立金から控除される
取引先の倒産時には、無利子で融資が受けられるますが、融資を受ける場合には今までに払ってきた掛金が減らされる仕組みになっています。融資額の10%が掛金から減らされるため、掛金総額の10倍の融資を受ける場合には、掛金が全てなくなってしまいます。
そのため、他の金融機関で借り入れをするよりは、金利負担は高くなります。
加入40カ月未満の場合、解約手数料がかかる
40カ月未満で途中解約すると一定の減額になりますが、40カ月を経過すると掛金の100%(機構解約の場合95%)が返還されます。
貸付金を受けている場合には、貸付残高分は控除されます。
解約手当金は受け取り時に課税されるので、受け取り方によりますが、益金か事業所得になります。
まとめ
このようなかたちで倒産防止共済は美容室の経営にも役立ちます。
倒産防止共済の使い方は、利益が大きく上がり税金が心配な期末に前払いをすることで経費として処理しながら、お店に残る利益を調節することで節税が出来ます。
40か月以上加入していれば全額が解約金として返還されるので設備投資をする場合やもしも赤字になった年に解約することで資金調達が出来るのでぜひ活用してみてください。
倒産防止共済への加入目的は利益の圧縮です。
注意点は解約手当金を受け取る場合に雑収入として利益に対して課税されますので、受け取り時の出口戦略も上手く工夫するようにしないといけません。